・調査の概要
・調査結果のまとめ
・調査結果の詳細


調査の概要

1.これまでのいきさつ

(1)  去る20001月、ある顧客地主様から土地有効活用のご相談を受けたこがきっかけとなり、農地を家庭菜園に活用した際の事業性および必要条件等を調査することとなり、横浜市青葉区、都筑区、緑区および川崎市麻生区の鶴見川と恩田川周辺の家庭菜園51ヶ所を対象に家庭菜園利用者の意識調査を実施した。

(2)  その結果は、冊子「家庭菜園利用者の意識調査報告書」(20003月発行)にとりまとめ、また当社ホームページで公開した。

(3)  この内容を慎重に検討した結果、新たに「有限会社ドミタス」を設立して家庭菜園事業を開始することとし、20008月に最初の家庭菜園をオープンした。 以降、順次規模を拡大し、現在、会員数147名、菜園6ヶ所213区画(1区画約30u)で運営している。


.調査の目的

前回の調査からまる3年が経過するが、3年経過した後の状況の変化と今後の事業展開の方向性、および菜園会員へのサービス向上と円滑な運営の参考とするために、改めて当社菜園の会員を対象に意識や取り組み等の実態を調査することにした。

.調査方法

当社家庭菜園の全会員147名にアンケート用紙および返信用封筒を送付して協力要請を行った。
その結果、104名(回収率71%)から回答を戴いた。


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調査結果のまとめ


(1)   家庭菜園の魅力


@家庭菜園って何が面白い?


家庭菜園を趣味とするほとんどの人は「家庭菜園って何が面白いんですか?」という問いかけを受けたことがあるに違いない。

そんな質問に対して、自然と触れ合うことができる、植物を育てる面白さ、無農薬野菜が収穫できる、旬の野菜を味わえる等々と答える。これらのどれもが間違いではないと思いながら、これだけではないとも思う。例えば、テニスなどのスポーツの面白さは明快で、それを説明するのも簡単である。

しかし野菜づくりに関しては、ときに土いじりで指の爪を真っ黒にし、真夏に照りつける太陽の下で土に這いつくばって際限なく生えてくる雑草をひとつひとつ抜く等々の3K労働に近いことを乗り越えて取り組むほどの面白さが何なのか明快には出てこないのである。

私自身、何度もこのような体験を重ねながら、大切な趣味である家庭菜園の面白さを的確に認識しているのだろうかと一抹の焦燥感にとらわれることがあった。今回のアンケート結果をじっくりと見ながら、この答えが見つかったような気がする。


A根源的欲求


自分や家族の食べ物を収穫したり採取することの満足感や喜びは人間の根源的な欲求ではなかろうか? 稼いだ金銭で買った食べ物という、合理的ではあっても間接的な成果を得たときに比べて、直接、自分で栽培した食い物を獲得したときに感じる満足は異質である。我々の遺伝子に刷り込まれている何かの刺激により動機付けされているのかも知れない。

人間の食欲や性欲等の本能と同列とは言えないまでも、何かそれに近い根源的なものを満たされているように感じるのである。


(2)  
環境整備


野菜づくりに関する欲求を持つ人がさらに多く潜在していると思われ、今後、これに対応できる環境を整えることが望まれている。これは事業の拡大という目的だけでなく、社会的貢献という意味を持つことを認識し積極的に取り組みたい。



@ソフト面


市民菜園では雑草に覆われ半ば放置された区画が散見される。何らかの理由で借り主が野菜づくりを放棄したと思われる。賃借料が比較的に安価なので借り主の損害が小額で済むという気楽さが災いしている面もあると思われる。


当社の菜園では出来栄えの良し悪しはあるものの放置された区画は無い。往々にして未経験者は信じられないような失敗をするので、当社では入門講習会を行ったり、未経験者に対する個別助言を行ない、全会員が立ち上がりシーズンから収穫の喜びを経験してもらえるよう努力している。


また、会員相互のコミュニケーションをはかるため、年数回のイベントを開催し、インターネットホームページで折々の菜園の出来事を紹介し、また本年から会員向け季刊誌の発行を開始した。

単なる「野菜づくりの場所提供」だけでなく、家庭菜園に求められる様々なニーズに対応できるよう、さらにソフト面の充実をはかってゆきたい。


Aハード面


希望者の自宅近くに適当な家庭菜園を提供するためには、適当なロケーションにある適当な広さの農地を安価に賃借できることが総てのスタートとなるが、思わしく進展していない。


農地を貸し出すことにより地主が不利をこうむるような農地法上の制約も障害のひとつとなっている。
後継者難のため実質休眠している農地が周辺地域に多くあるのが実態と思われるが、これらを家庭菜園に転用しやすい条件が整えば用地確保の問題は大きく進展すると思われる。菜園の設備等に関しては、これまでの6ヵ所の菜園開設、運営を通じて培ったノウハウを自信を持って活かして行きたい。



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調査結果の詳細

1.回答者のプロフィール


(1)   年齢構成

回答者の平均年齢は58.5歳で、50歳以上が87%を占める。この年齢構成は会員全体の状況と同じである。なお、女性だけで家庭菜園を楽しんでいる会員は極く少数なので、今回、性別調査は行わなかった。
また、夫婦同伴で家庭菜園に来る会員が多く、60代未満の若い世代ほどこの傾向が強い。
N=104


(2)   経験年数

野菜づくりの経験は平均3.5年となっているが、3年までの浅い経験者が76%を占めている。

なお、入会した際申込書に経験無しと記入した会員は54%あった。 これらの会員は未経験ながらも野菜づくりに関心を持ち、会員になってから野菜づくりをスタートしたものである。

当社菜園の告知はインターネット ホームページ、および新規開設した菜園に広告看板を1枚掲示しているのみであり、積極的な広告宣伝を行っているわけではないが、新規開設した菜園はほぼ順調に埋まっていることから、経験の有無に関わらず野菜づくりへの潜在的なニーズは大きいものと思われる。
N=104

N=147

2000
3月の調査では経験年数5年以下は40%となっており、今回の調査と大きな差がある。このときの調査対象には農家から直接賃借している人が74%を占めており、農家と何らかのつながりを持つ人が長年にわたり農地を借りているものと思われる。



  



(3)   菜園を始めた動機
   

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2.これまでの野菜づくりの状況


(1)   自宅から菜園までの所要時間

所要時間20分以内が86%と圧倒的に多い。
野菜づくりでは自宅から気軽に行き来できる範囲に菜園があると何かと便利であり、当社会員の場合、片道20分以内が目処と思われる。

なお、40〜50分所要の会員の多くは東京都、川崎市、および横浜市中心部に居住している。このうち、半数以上の方は当社のインターネットホームページを見て応募している。これらの会員は自宅の最寄りに適当な場所がない
ため遠距離のハンデキャップを抱えながらも当社の菜園を利用していると思われる。


N=104


2)交通手段

自家用車が69%と圧倒的に多い。
バス利用者はゼロとなっているが、土いじりによる衣類の汚れや収穫した野菜の持ち帰り等を考えると、公共交通機関は利用しにくいと思われる。このため、菜園には駐車場スペースが必要と思われる。

N=101


(3)菜園に行った回数および滞在時間

4月から11月までの間の春夏秋シーズンは、菜園に行く回数が月10回以内(77%)、菜園での滞在時間が2時間以内(70%)というのが平均的動きとなっている。

なお、一般的には家庭菜園の休止時期と思われ勝ちな12月から3月までの冬シーズンでも、温暖な気候に恵まれたこの地域では野菜づくりができるので、当社会員も菜園に行く回数が月5回以内(76%)、菜園での滞在時間が1時間から2時間(合せて70%)の活動を行っている

むしろ冬シーズンは焚き火を囲み、屋外料理を楽しんだり、竹炭焼きに取り組む等、冬のアウトドアならではの楽しみを味わうことが出来る。家庭菜園は四季を通じた活動である。



N=99


()種苗や肥料などの購入費用および購入先

年間に種苗や肥料などの購入に使う費用は平均19,070円となっている。 会員の平均菜園面積は一人あたり39uであり、この費用を2000年3月の調査データと比較するとほぼ同額であった。

N=80

種苗、肥料などの購入先はホームセンターが70%と群を抜いており、以下農協44%、専門店38%と続く。

なお、20003月調査では農協が81%、ホームセンター51%となっており、今回の調査と差異がある。 また、サカタ、タキイ等の大手種苗業者の通信販売を利用している会員が24%と多い。

N=100


(5)情報入手先

インターネットを活用した情報入手は16%と少ないが、年齢構成(平均58.5歳)を考えれば止むを得ないと思われる。書籍や仲間の助言などから積極的に情報を集め、普段から勉強を重ねている様子が窺える。

N=102


(6)野菜作りの自己評価

アンケートの回答と日ごろの菜園の出来栄えを個別に見ると、かなり遠慮した評価結果となっている。
ビギナーと自己評価した会員のなかに既に中級の域に達している人も多く混在しており、このデータはかなり誤差が多いと思われる。

N=98

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3.これまでの収穫


(1)作ったことのある野菜など

夏野菜ではトマト、ナス、キュウリ、ジャガイモ、秋野菜では小松菜、大根、白菜、キャベツなどの定番野菜はほぼ全員が作っている(菜園を始めて1年を経過していない人がいるのでデータ上では100%にならない)。 栽培する人が多い野菜(5割以上)ではスイートコーン(とうもろこし)、ニンジン、えだまめ、ほうれん草が上位となっている。

(2)収穫した野菜の売価換算

平均23千円となっているが、この設問については「思い込みから過大な値付けをする人もあるが、店頭の野菜との見栄えの違いから遠慮した値付けをする人もあり、総じて実態とは異なるバラツキの多い結果となった。

N=63



4.趣味としての家庭菜園


(1)  位置付け

野菜の育ちに応じて日常的に関わる必要が生じ、また美味しい野菜を家族の惣菜に活用することもできる。
なお、最初の菜園開設から間もなく3年が経過するが、この間に退会した会員は8名いる。退会理由は転居、より近くの家庭菜園に入会、および自宅から遠距離のため通いきれなくなったものであり、野菜づくりに飽きたり嫌いになって退会したものは皆無である。

N=104


(2)   健康面での効果

フィジカル面の健康については78%が効果を認めており、運動量は86%が適量と答えている。
野菜づくりは耕作面積を調整したり手間のかからない野菜をつくる等、自然と親しみながら自分の体力に応じた楽しみ方ができるので、このような結果になったと思われる。

N=104

N=104


(3)   自然環境との関わり

単に外から自然を眺めているのでなく、実際の野菜づくりを通じて直接自然と関わっていると意識している。

意  識

そう思う

野菜づくりを通じて自然と向き合っている

56%

野菜づくりに影響する天候や気温などの感じ方が変わった

49%

アウトドアライフが好き

29%

きれいな空気を吸い日光浴ができる

16%

あまり自然は意識しない

1%



(4)   土や植物への関心

自然の中で野菜が成長してゆく過程を観察し楽しんでいる人が多い。

関心のポイント

そう思う

育つ過程が面白い

52%

やってみると奥深い

51%

食に直結しているところも面白い

32%

自分で料理することも好き

25%

素朴な興味がある

23%




(5)   菜園での仲間との交流

同じ趣味を持つ仲間とは積極的に交流したいという考えが圧倒的に多く、わずらわしい人間関係は避けたいという考えの会員は皆無だった。

N=92


(6)   貴方にとって家庭菜園とは
表現は様々であるが、自分にとって大切なもの、今後も続けてゆきたいものとの声が多い。


(7)   家庭菜園以外の趣味

ゴルフ(22%)、ハイキングや登山(16%)、旅行(16%)、ウォーキング(14%)、および釣り(11%)などが多いが、総じて多趣味な人は少ない。

これらに加えて家庭菜園も趣味のひとつになっているが、普段の生活で日常的に関わっている趣味としては家庭菜園を上回るものはないのではないかと思われる。

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5.今後の希望・目標


(1)   菜園の趣味を今後も続けるか

ビギナーの一部会員を除き、今後も続けたいという意向が圧倒的に強い。

N=92


(2)   希望する菜園の面積および地代

希望する菜園の面積
(平均)

83.8u

希望賃借料(平均)

38,776

「より広い面積の菜園を、より安く」との要望である。当社では、1区画の面積を約30uとし年間賃借料を約3万円と設定して会員に貸し出している。

サラリーマンなど週末にのみ菜園に通う会員は30uで精一杯の様子であるが、時間にゆとりのある会員や野菜づくりに習熟して作る種類が増えつつある会員等は、より多くの面積を求める傾向が強い。

当社の147会員のうち45会員は2区画(面積60u)以上を使用し、賃借料約6万円を支払っている。適正な料金レベルがどの程度なのか分からないが、現状の農地賃貸の需給環境のなかでは、地主に支払う地代と諸経費を差し引くと現状の賃借料が適当と考えざるを得ない。



(3)   家庭菜園に必要な設備 

20003月の調査に基づき当社の菜園6ヵ所には下記の4つの設備すべてを完備する方針で取り組み、給水以外の設備は菜園オープン時から完備してきた。いずれの設備も使用頻度は高く、多くの会員に必要 な設備と認識されている。

なお、給水設備に関しては菜園用地近くを水道配管が通っていた3ヶ所の菜園はオープン時から給水設備を設けたが、他の3ヶ所にはこれができなかった。しかし、本年に入ってから専用機器を購入して順次井戸を掘り始め、4月までに2ヶ所に井戸を設け、残る1ヶ所も近々井戸を掘る予定である。

N=84





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